熱中症と間違えやすい?夏の「脳梗塞」
すでに30度を超える気温の日も多く、本格的な夏の気温はどうなってしまうのか…と少し不安に思っています。
熱中症も心配される季節ですが、夏は「脳梗塞」も起こりやすいのです。
脳卒中には2つのタイプがあり、脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」に分けられます。一般に”脳卒中は冬に起こりやすい”とされていますが、「脳梗塞」だけに限ると夏の発生数が多くなるのです。
夏は血管が詰まりやすい2つのタイプに注意!
脳梗塞は、脳の血管に血栓(血の塊)が詰まって血流が途絶え、脳の組織が壊死していく病気で、大きく3つのタイプに分けられます。
1つは、心臓の血管内にできた血栓が脳に飛んで詰まる「心原生脳塞栓症」。
2つめは、脳の太い血管に血栓ができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」。アテロームとは、血液中のコレステロールなどが血管壁に入り込んでできた、粥状の塊のことです。
3つめは、脳の細い血管に動脈硬化が起こって詰まる「ラクナ梗塞」です。
このうち、「アテローム血栓性脳梗塞」と「ラクナ梗塞」が、夏に多くなります。
脱水症状に要注意
湿気や気温の上昇によって汗をたくさんかいて、身体が脱水状態になると、血液がドロドロになり血栓ができやすくなります。
また、身体は普段から環境に適応するため、自律神経を働かせて血管の太さを調節したりしていますが、夏は身体の熱を逃がすため血管が拡張して血圧が下がり、全身の血の巡りが悪くなる…その相互作用で血栓が詰まりやすくなります。
元々の血液や血管の状態が良くないとリスクは上がる為、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)や不整脈といった基礎疾患を持つ方は、脱水を契機とした脳梗塞には特に注意が必要です。
熱中症の初期症状と似ている!?
めまいやふらつきが起きたり、吐き気がする、といった熱中症の初期症状は、脳梗塞にも共通する症状です。本当は脳梗塞が発症したのに「軽い熱中症だろう」と思い込み放置した結果、重い後遺症が残ってしまった、というケースは珍しくありません。
脳梗塞ならではの症状
- 体の片側に力が入らなくなる
- 片側にしびれが出たり、感覚がなくなる
- ろれつが回らなくなる
- 言葉が理解できない
- 視野の片側が描ける・二重に見える
「暑いから熱中症だろう」と決めつけず、脳梗塞の疑いがあれば、すぐに救急要請しましょう。仮に熱中症と診断されたとしても、重症になれば命に関わるため、どちらの場合も注意が必要です。
手足の麻痺やしびれなどの症状が「数分で収まった」としても、一時的に血流が戻っただけで、放置すると危険ですので、念のため、医療機関を受診しましょう。
夏場の脳梗塞を予防するために
夏の脳梗塞対策は、水分補給が第一です。のどが渇いたときには、すでに脱水が始まっています。
のどの渇きを感じる前に、水分をとることが大事です。また、冷房が効いている部屋は意外と乾燥していて、気づかないうちに脱水症状になることもあります。室内にいて涼しいから大丈夫、のどが乾いていないから大丈夫、と思わず、1〜2時間に1回と時間を決めるなどして、定期的に水分補給をしてください。
夏は冷たいビール等が進みますが、アルコールは利尿作用があり、脱水の原因になります。「お酒で水分摂取しているから大丈夫!」は逆効果です。水などを挟みながら、美味しく安全に楽しみましょう。
今年も、平年より気温が高くなり、記録的猛暑となった昨年に匹敵する暑さが予想されています。
暑いときは我慢せず、エアコンや暑さ対策グッズを使って、しっかり水分補給しながら無理なく乗り切りましょう!